声優専門学校と声優養成所の違いとは?メリット・デメリットを比較

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声優専門学校と声優養成所は、どちらも声優になるためのレッスンを受講できる声優育成機関です。

一見同じような学校に見えますが、声優専門学校と声優養成所では運営方法や入学の難易度、レッスン時間など様々な点において大きな違いがあります。

声優専門学校と声優養成所の違いを正しく理解し、進路選択の参考にしていきましょう。

声優専門学校ってどんなところ?

声優養成所のレッスン風景

声優専門学校とは声優の技術を学べる学校のことで、基本的には平日週5日、毎日通学するスタイルです。

声優専門学校は入学の意思があれば誰でも入学できるような環境で、入学のハードルはそれほど高くありません。

声優専門学校は声優を学べるスクールの中でもレッスン時間が断トツで多いです。そのため、未経験者でも基礎からじっくり時間をかけて技術を身に付けることができます。

設備が整った声優専門学校を選べば、基礎レッスンだけではなく実践的なレッスンも受けることができます。中には、在学中の声優デビューやプロダクション所属といった理想的な進路を勝ち取る人もいます。

とはいえ、声優専門学校は入学のハードルが低い分、何となく声優専門学校を選んで入学する学生が多いのも事実です。

声優専門学校によっては、声優の輩出実績がほとんどなく、卒業後は声優の道を諦めて一般就職する学生が多い学校もあります。

声優専門学校から声優になる道を検討している人は、学校選びを慎重に行うことが最も重要なポイントといえるでしょう。

声優養成所ってどんなところ?

声優養成所のレッスンの様子

声優養成所とは、主に声優プロダクションが新人声優を発掘するためにレッスンを行なっている声優の養成機関です。「声優プロダクションの二軍」と表現されることもあります。

声優プロダクションの下部組織という点が声優養成所の一番の特徴といえるでしょう。

声優養成所は実力主義でレッスンや審査が厳しいという一面があります。声優養成所に入るためにも、入所オーディションに合格する必要があります。

1クラスにつき15〜30名程のレッスン生で構成され、半年~1年のレッスンを受講し終えると進級試験を受けることになります。

進級試験では上位クラスに進めるか、退所となるかの審査を受けます。こうした進級試験を繰り返し、最上位クラスまで上り詰めた後、声優プロダクションへの所属オーディションに参加する流れです。

入所できたとしても、プロダクションの所属オーディションまでたどり着くことができるレッスン生はほんのわずかです。

100名以上が入所するような大型の声優養成所であっても、プロダクション所属まで辿り着けるのはたったの数名という厳しい世界です。

声優養成所によってデビューの難易度は異なりますが、声優デビューを果たせるのはごく一部の生徒のみというのはどの声優養成所にも共通していることです。

また、声優養成所はレッスンが週1〜3回程度なので仕事や学業と両立しやすく、レッスン時間も短いため声優専門学校に比べると学費が安いという特徴もあります。

声優専門学校は週5日の全日制で、入学してしまえば卒業するまで学ぶことができます。

一方、声優養成所は週数回のレッスンなので仕事や学業と両立ができるものの、厳しい審査に合格できなければレッスンが続けられない点が大きな違いといえるでしょう。

声優専門学校と声優養成所を徹底比較

上の章では、声優専門学校と声優養成所はどのようなところなのかについてや、大まかな違いについて解説しました。
ここからは、より具体的に声優専門学校と声優養成所の違いについて、項目ごとに比較していきましょう。

専門学校と養成所の比較一覧

声優専門学校声優養成所
入学方法入試オーディション
運営母体学校法人プロダクション
レッスン頻度週5日週1~3日程度
レッスン難易度
オーディション複数プロダクション受験可系列プロダクションのみ
進路サポートありなし
学費(年間)120万円~150万円20万円~110万円

※全ての声優専門学校・声優養成所が上記に当てはまるものではありません。
※声優専門学校の学費は入学金なども含めた2年間の総額を1年あたりに換算したおおよその金額です。

声優専門学校と声優養成所には上記のような違いがあります。各ポイントについてどのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

入学方法

声優専門学校へ入学するには、入試に合格する必要があります。入試といっても面接や書類選考が基本となっており、学力や声優の技術を問うような試験ではありません。

そのため、声優専門学校に入学することはそれほど難しいことではないでしょう。

一方、声優養成所はオーディションに合格しなければ入所できません。オーディションでは技術を見る養成所もあれば、個性を見る養成所、スター性を見る養成所など様々です。

声優としての将来性や、プロダクションが求める人材に適しているかどうかを審査されることになるでしょう。

なお、声優養成所の倍率は1~5倍程度といわれています。人気のある声優養成所は倍率が高く、入所自体が難しい場合もあります。

運営者

声優専門学校は学校法人(または企業)が運営しています。学校の要素が強いので、初心者でも声優になるために必要な技術を基礎から学べるカリキュラムになっています。

また、能力に関係なく卒業するまで全カリキュラムを受講できる点も、学校が運営するからこその特徴でもあります。

一方、声優養成所は、声優プロダクションが自社の新人発掘と育成のためにレッスンを提供しています。

最終目標は運営母体であるプロダクションの所属声優です。声優養成所では、進級審査に合格できない場合は退所となることもあります。

学校法人が運営する声優専門学校に比べて、声優プロダクションが運営する声優養成所は能力にシビアな一面があるといえるでしょう。

レッスン頻度

声優専門学校では、基本的に平日は毎日レッスンを行います。声優の技術を学べる機関の中で、声優専門学校は圧倒的に授業コマ数が多いです。

そのため、声優養成所よりも声優専門学校の方が、基礎から時間をかけてじっくりとレッスンを受講することができます。

ただし、声優専門学校に在学している間は、声優レッスン中心の生活になります。アルバイト程度なら可能ですが、他の学校や仕事がある人は基本的には両立は難しいでしょう。

一方、声優養成所は週1〜3回程度となっています。レッスン頻度が少ないので、学業や仕事と両立することができます。

声優養成所によっては半年間でレッスンが終了するので、時間的な拘束は声優専門学校よりも少ないでしょう。

ただし、少ないレッスン回数で声優の技術を身に付けなければならない点はデメリットとも言えるでしょう。

レッスン難易度

声優専門学校は初心者でも基礎から時間をかけて学べるカリキュラムになっています。基礎が中心のため、レッスンの難易度は低めと考えても良いでしょう。

また、授業コマ数が多いため、歌やダンス、殺陣といったレッスンもカリキュラムに含まれています。声優に特化した技術だけではなく、様々な分野の技術を幅広く学ぶことができます。

一方の声優養成所は、レッスンの難易度は比較的高いと言えます。声優養成所はレッスン頻度が少ないので、どうしても要点を絞ったレッスン内容になることが多いです。

また、声優専門学校で基礎レッスンを受けてきたレッスン生もいるため、全くの未経験から入所した場合、声優養成所のレッスンに付いていくのが難しいと感じる可能性もあります。

レッスン難易度は声優養成所によっても大きく異なりますが、声優専門学校に比べると高いと考えておいた方が良いでしょう。

所属オーディション

所属オーディションとは、声優プロダクションが声優タレントを採用するオーディションです。

声優専門学校と声優養成所では、受験できる所属オーディションの数に大きな違いがあります。

声優専門学校は複数のプロダクションの所属オーディションに参加可能ですが、声優養成所に関しては系列プロダクション以外のオーディションには参加できない場合が多いです。

声優専門学校は声優の技術を学ぶ場所で、進路サポートも積極的に行います。声優専門学校によっては、複数の声優プロダクションを学校に招き、学校主催で所属オーディションを開催しています。

一方、声優養成所は系列プロダクションの新人育成を目的としています。
声優養成所に入所しても、プロダクションの所属オーディションに参加できるのは選抜された一部のレッスン生に限られます。

声優プロダクションを絞らずに、より多くの可能性にかけたい人は声優専門学校がおすすめです。一方で、行きたい声優プロダクションが決まっている場合は、傘下の声優養成所へ入所するのが良いでしょう。

進路サポート

声優専門学校は学校という特性上、生徒の進路サポートが充実している場合が多いです。声優を目指す生徒のサポートのみならず、進路変更をして就職を目指す生徒へのサポートも行います。

一方、声優養成所では基本的に進路サポートは受けられないと考えておいた方が良いでしょう。

学費

声優専門学校は、声優養成所に比べて学費が高いです。ただし、声優養成所よりもレッスンのコマ数が多く、豊富なカリキュラムで声優に必要な技術を総合的に学ぶことができます。

声優の技術をじっくりと学びながら、進路サポートも受けられる手厚い環境を求めるなら声優専門学校がおすすめです。

一方、声優養成所は声優専門学校に比べて学費が安く、要点を絞ったレッスンを受講できます。

進路サポートはありませんが、お金も時間もコンパクトに学びたい方は声優養成所の方が向いているでしょう。

声優を目指すなら声優専門学校と声優養成所どっち?

声優になるには声優専門学校と声優養成所のどっちへ進むべきか?悩んでいる人も多いでしょう。答えとしては、その人のスキルや目標、生活スタイルなどによって変わります。

ここからは、声優専門学校と声優養成所のそれぞれが持つメリットとデメリットを整理し、その上で自分がどちらを選択すべきかを判断していきましょう。

声優専門学校のメリット

  • 基礎からしっかり学べる
  • 入学しやすい
  • 豊富なカリキュラム
  • 複数のプロダクションを受験できる
  • 進路サポートがある
  • 施設が整っている
  • 講師のバリエーションが幅広い

声優専門学校の最大のメリットは、初心者でも基礎から時間をかけて学べることです。

声優専門学校は声優養成所と比較して、圧倒的に授業時間が長いです。レッスン時間が長いことで、細かな内容まで丁寧に学ぶことができます。

また、ヴォーカルレッスンやダンス、殺陣など、声優になるために役立つ技術も学ぶことができます。

声優に必要なレッスンを総合的に受講できるのは、声優専門学校ならではのメリットでしょう。

また、チャンスが幅広いという点も声優専門学校の大きなメリットです。声優専門学校では、希望する声優プロダクションのオーディションに自由に参加することができます。

声優輩出実績が高い声優専門学校を選べば、学内に多数の声優プロダクションを招いた学内合同オーディションに参加することもできます。

多数の声優プロダクションを選択肢に入れておきたい人にとっては大きなメリットです。

また、声優専門学校は学校という立場から、声優の夢から進路変更をした学生のサポートも行っています。

声優専門学校に進学すべきか迷いがある学生にとっても、進路サポートがある点は心強いでしょう。

声優専門学校のデメリット

  • 仕事や学業と両立できない
  • 学費が高い
  • モチベーションの低い生徒もいる
  • 声優輩出実績がない専門学校もある

声優専門学校は基本的に2年間毎日通う通学スタイルなので、仕事や他の学業との両立はできません。

声優養成所に比べて授業コマ数も多いので、どうしても学費が高くなります。

また、声優専門学校は入学する際のハードルが低いので、本気で声優を目指していない学生でも簡単に入学することができます。

モチベーションが低い学生ばかりの環境になると、本気で声優を目指す学生にまで悪影響となり、成長速度に影響を及ぼしかねません。

また、声優専門学校の中には声優をほとんど輩出できていない声優専門学校もあるので、学校選びは慎重に行うことが大切です。

声優専門学校に向いている人はこんな人

  • 声優レッスンを受けたことがない人
  • 着実に技術を向上させたい人
  • 2年間声優のレッスンに没頭したい人
  • 声優以外の進路も考えている人
  • 色々なプロダクションを受けたい人

声優養成所のメリット

  • プロダクションへの所属チャンスがある
  • 学費が安い
  • 仕事や学業と両立できる
  • 実力を試すことができる

声優養成所の最大のメリットは、系列プロダクションの所属声優になれるチャンスがあることです。

声優養成所では、系列プロダクションへの所属をかけてレッスンを受講します。オーディションに参加するまでの道のりは決して簡単なことではありませんが、一般公募オーディションに比べると所属のチャンスは豊富です。

また、声優養成所と声優プロダクションはグループ関係にあるため、レッスン生の情報がプロダクション関係者の耳に入りやすい環境でもあります。

所属声優が講師を務めたり、プロダクション関係者がレッスンを見に来たりと、オーディション以外にもデビューのチャンスがあるのも声優養成所ならではのメリットです。

また、声優養成所では進級の度に審査があるので、早ければ半年ほどで自分の実力を知ることができます。

進路に迷いがある人にとっては、進路を決める上での判断材料にもなるので、声優養成所のメリットともいえるでしょう。

声優養成所のデメリット

  • 声優プロダクションを選べない
  • 他の芸能活動ができない
  • 進級審査が厳しい
  • レッスンスピードが早い

声優養成所のデメリットは、声優プロダクションの選択肢が少ないことです。

多くの声優養成所は、系列プロダクションの所属声優を発掘するためにレッスンを開講しています。そのため、声優養成所に入所している間は、他社の所属オーディションには参加できないという規定を設けている所が多いです。

さらに、声優養成所では定期的に行われる進級試験に合格できなければ強制退所となることもあります。

最終的に所属オーディションに参加できるのも、進級試験に全て合格した限られたレッスン生のみです。

声優養成所に入所する多くの人は、所属オーディションに挑戦することもなく退所していることになります。

声優養成所はうまくいけば声優デビューへの最短距離ですが、場合によっては声優専門学校以上にお金と時間がかかる可能性もあります。

また、声優養成所のレッスンスピードは早いので、能力にあった声優養成所を選ばなくてはレッスンに付いていけず苦労する可能性もあります。

声優養成所では自主練ありきで授業が展開されているため、経験者の方が適しているとも考えることができます。

声優養成所に向いている人はこんな人

  • 目指す声優プロダクションが決まっている人
  • 声優の勉強をしたことがある人
  • 早く結果を出したい人
  • 学業や仕事と両立したい人

まとめ

声優専門学校と声優養成所は、どちらも声優の技術を学ぶ場所ですが、運営目的は大きく違います。

声優専門学校は、声優の技術を習得して進路につなげることを目的としており、声優養成所はプロダクションの新人候補の育成を目的としています。

時間をかけて基礎からレッスンを受けたい人や、色々な声優プロダクションを検討している方には声優専門学校がおすすめです。

一方で、目当ての声優プロダクションが決まっていたり、仕事や学校と両立しながら声優の夢に挑戦してみたい方には声優養成所がおすすめです。

どちらの進路に進むにしても、どの声優専門学校や声優養成所を選ぶかによって将来は大きく変わってきます。しっかりとリサーチをして悔いのない進路選択をしましょう。